魚沼の自然の香りをオリジナルのアロマに

アロマのプロとして活躍する一方、ネイチャーガイドとして魚沼の自然のすばらしさを伝えている山田さん。アロマとネイチャーガイド、2つの活動から見つけた目標はオリジナルのアロマ作り。自然の中へ足を運んで感覚を磨きながら、オリジナルアロマのイメージを膨らませています。

 

山田  明美さん(「natura」代表、奥只見郷ネイチャーガイド)

 

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山田

 

自らの体験をきっかけにアロマのプロに

関越自動車道堀之内インターから車で3分ほど、田んぼや畑が点在する集落の一角に小さなサロンがあります。「natura」。山田さんが2005年に開いたお店です。自宅の一部を改装した店内には施術用のベッドと応接スペースがあり、アロマの香りが訪れた人を優しく出迎えてくれます。

山田さんは東京都清瀬市出身。中学3年生の時、家庭の事情で母親の実家に移り住むことになりました。「それまでも母の実家には何度も訪れていましたから、それほど違和感はありませんでした」と山田さん。環境にもすぐなじみ、地元の高校を卒業した後は半導体を製造する会社に就職。アロマとの出会いは、この会社に勤めていたときでした。「製造現場で働いていた時は夜勤があったんですが、昼間に眠ることがなかなかできなくて。そのときラベンダーがいいと聞いて試してみたら、ほんとうに眠ることができて。すごいなーと思ったことがきっかけでした」。仕事を続けながら長岡の専門学校に通ってアロマを勉強、資格も取得しました。「ただ、その頃は店を開こうとは思ってなくて、自分のためにもっとアロマを使えるようになったらいいな、という考えでした」。

プロとして独立しようと動き始めたのは2004年、中越地震がきっかけでした。中越地域に甚大な被害を与えたこの地震によって、山田さんの務めていた会社も操業停止に。自宅待機の日々を過ごす中、自分が体験したアロマのすばらしさを他の人にも知ってもらえたらと思い一念発起。サロンを開くために必要なインストラクター資格を1年で取得し、翌年、自宅にお店をオープンしました。

 

 

山田

 

フラットな感覚を取り戻しに自然の中へ

お店を始めて10年以上たった今では、仕事の幅も広がってきました。予約制の自宅サロンでの施術、各地で行うアロマテラピー教室に加え、アロマ空間デザイナーの資格を取得して、店舗やホテル、クリニックなどに香りを提案する仕事でも活躍しています。「不特定多数の方が利用する空間の香りは、個人を対象とした施術とは違う難しさがあります。利用される方にとって心地よい環境になるにはどんなアロマがいいか、プロとして責任を持って提案しています」。

アロマのプロとして活躍する一方、5年前からは奥只見郷ネイチャーガイドとして、また尾瀬認定ガイドとしての活動もスタートした山田さん。「魚沼に引っ越してきたときはそれほど自然を意識してはいなかったのですが、アロマを勉強し始めてから自然に対しても興味が湧いてきました。身近にある森や公園の、土の匂いや草の匂いも広い意味ではアロマなんですよね」。時間がとれれば、プライベートでも燧ヶ岳や会津駒ヶ岳など近隣の山へ出かけます。「自然の中に入るのは、自分の感情をハイでもなくローでもなく、中庸な状態に持っていきたいから、ゆったりした状態でいたいから」。この世の中、ストレスを感じない人はいません。アロマセラピストである山田さんもその例外ではないと言います。「私自身がリフレッシュできることもありますが、自然に触れることで仕事にフィードバックされる部分もあります。自然の中にいると自分の中の感じようとする気持ちが高まったり、インスピレーションを受けたり」。身近に豊かな自然のある魚沼の環境は、山田さんの仕事にも少なからず影響を与えているようです。

 

ハーブ

ハーブ

ハーブ

natura

 

写真

  1. 乾燥中のハーブ(左上:レモンバーム、左下:ラベンダー、右:ドクダミ)
  2. 乾燥中のハーブ(左上:レモンバーム、左下:マローグルー、右:ラベンダー)
  3. naturaの店内には、さまざまなハーブがストックされていました。
  4. 入り口にはnaturaのかわいい看板が。

 

 

山田

 

仕事で培った経験をガイドにも活用

ネイチャーガイドでは尾瀬をガイドすることが多い山田さん。自身も尾瀬が大好きだと話します。「ガイドを始める前は2・3回しか行ったことがなかったんですね。それも秋だけ。尾瀬は紅葉のシーズンがいいとずっと思い込んでいたんです。でもガイドになって出かけることが増えると、どの季節もいいなあ、尾瀬って自分が思ってた以上にすごいなぁって、改めて知ることができました」。その思いを参加した人々にも伝えたい。アロマのプロである山田さんは、仕事で培った経験を生かしてガイドをしています。

「アロマテラピーではヒアリングが大切です。例えば頭が痛いといっても、何が原因で頭痛がするのか人によって違います。ストレスからなのか、具体的にどこかが悪くて頭痛がするのか。香りについてもそうです、同じ香りでも一人一人感じ方とかとらえ方が違います。その人の今の状態に合わせて最適なアロマを調合して提供することが大切なんです。ガイドをする場合も一緒だと思います。参加された方がどう感じているかを聞きながらガイドしています」。

 

 

山田

 

参加者に感じてもらい、気づいてもらえるガイドを

山田さんがガイドをする際に心掛けているのは「気づき」。一方的に説明しているだけでは参加者は受け身になってしまい、自分で感じてもらうことができません。問いかけをしながら、参加者に何かを感じてもらえるように、コミュニケーションを大切にしていると言います。「特に香りなんかそうですよね。説明しちゃうとおもしろくない。頭で考えてしまって、そう言われればそんな香りがするかな、くらいで終わってしまいます」。先入観を持たず、フラットな状態で自然と接してもらうこと。その上で「立ち止まってもらって、今、どんな香りを感じますかとか、この花を知っていますかとか問いかけてみて、質問があれば説明する。知識も大切ですし、自然の大切さを言葉で伝えるのも必要ですが、まず何を感じてもらえるかが、ガイドとして重要なんじゃないかと思います。極端に言えば、何も説明せずに五感で感じてもらう。そんな楽しみ方を伝えられないかと思っています」。

仕事で得た経験をガイドとしても生かしている山田さん。「でも、ひょっとしたらガイドは自分のためにもなっているかも。いろんな参加者と話す中で、それぞれの人の感じ方を知ったり、コミュニケーションの方法を知らず知らずに学ばせてもらっているのかもしれませんね」。

 

山田

小学校の尾瀬学習でガイドを行う山田さん

山田

山田

 

 

山田

 

尾瀬を感じてもらえるオリジナルアロマ

取材の途中で山田さんがひとつのアロマを出してきてくれました。ペーパーに少し付けてかいでみると、かすかに柑橘系も感じられるおだやかな香り。「これ、クロモジの抽出油なんですよ」。高級な楊枝として使われているクロモジですが、枝葉からはクロモジ油という精油がとれ、かつては香水や石けんに使われていたといいます。「クロモジにはリナロールという成分が多く含まれていて、リラックス効果があるんです」。実はこのクロモジ油は魚沼産。里山整備の際に刈り取られたクロモジを、地元の方がテスト的に抽出しているのだそうです。

言ってみれば、魚沼発のご当地アロマ。「自分で抽出するわけではないですが、私もオリジナルの香りを作りたいと思っています。テーマは『尾瀬の香り』。5年間ガイドをしてきて、その中で感じたイメージをアロマにしたいんです。言葉で表現するのは難しいけど、針葉樹の香りって言えばいいでしょうか!? 尾瀬に行って良かったなあって感じたのと同じ感覚になれる香り。そんな香りをできるだけ早く作りたいと思っています」。

 

クロモジ

クロモジ

オイル

ラベンダー

 

写真

  1. 自然界のクロモジの枝葉。
  2. 乾燥したクロモジの枝葉。
  3. 魚沼産の貴重なクロモジのエッセンシャルオイル。ずーっと香りをかいでいたい気持ちにさせます。
  4. 「ラベンダーは、実を指で潰すと香りが広がりますよ」と山田さん。

 

natura(ナチュラ)
住所:〒9497403 魚沼市根小屋1080
TEL:080-3559-1080
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